羽田から国内外へ先端医療を。大学病院の医療と研究を一体化させたクリニック

「先端研究・医療、精密健診」を日本の玄関口に一体化させた医療施設

木の風合いが引き立ちリラックス感のある、健診センターの受付前
― 藤田医科大学東京 先端医療研究センターをオープンさせた経緯と目的をお聞かせください。
当センターの母体である藤田医科大学は、多様な先端研究に加えて、近年は「社会貢献」も掲げています。この理念に基づき、研究成果をスピーディーに診療へ活用して次世代の医療をいち早く社会に届けるため、日本の玄関口である羽田空港に隣接した羽田イノベーションシティに開設しました。この立地は、国内外に向けて先端医療を発信する拠点として最適だと考えています。
― 藤田医科大学東京 先端医療研究センターの主な特徴を教えてください。
まず、治療方法を企業と共同研究している“研究部門”として「藤田医科大学東京 先端医療研究センター」があります。当センターに併設する形で自由診療による医療サービスを提供する「羽田クリニック」。クリニック内の高精度な検査機器を使って運営する会員制の健診クラブ「フジタ エグゼクティブクラブ羽田」があげられます。羽田クリニックは、眼科・産婦人科・整形外科など、入院を伴わない治療や手術について保険適用外の先端医療を中心に提供しています。いずれの医療サービスも最先端の研究に裏付けされた知見や医療技術が活用されており、教授クラスの医師から直接説明を受けたり、相談したりできるのが大きな特徴です。会員制の健診クラブ「フジタ エグゼクティブクラブ羽田」では、2日間かけて大学病院レベルの高精度な検査機器を駆使して調べ、より確かな診断を行うのが特徴です。現在、海外からは30代以降、国内では50代以降の患者さまを中心に当健診クラブをご利用いただいております。
― 健診に2日間かかるということですが、なぜそれほどの時間を要するのでしょうか?
そうですね。理由の一つは、同じ部位あるいは病態を、各種検査機器の特性を活かして複合的に確認することもあるためです。それによって、診断をより正確にすることが可能になります。一般的にも全身の健診で2日間かかることはスタンダードです。大規模な施設での混雑した受診とは異なり、健診専用の個室をご用意し、他の利用者とほとんど顔を合わせることなく、コンシェルジュのアテンドサービスにより、くつろぎながら受診していただけることも当健診クラブの良さです。

藤田医科大学東京 先端医療研究センターの主な特徴や強みを語る、苅谷さん
― ちなみに、特徴の一つでもある高精度な検査機器はどのようなものがあるのですか。
例えば、立った状態で撮影できる「立位CT」は、世界に数台しかありません。(※2024年10月 取材時)一般的なCTは、仰向けに寝て撮影しますが、その状態では腰や膝などに抱えている痛みが和らぐことがあります。つまり、楽な体勢で撮影すると実際の症状が分かりにくくなることがあるのです。立位CTは重力がかかった状態で撮影するため、重力下での問題のある状態が把握しやすくなると言われており、より現状に適した治療法につなげられる期待が持てます。また、立位CTは従来のCTと比べ、上部が開放されている構造のため、比較的閉所恐怖症の方でも検査を受けられた、という複数の事例もありました。
― 健診以外にも、具体的にどのような医療サービスを提供しているのでしょうか。
羽田クリニックでは一連の医療サービスにおいて、「活動長寿」を維持していくことに重点を置いています。これは、高齢になっても活動性を保ったうえで健康寿命を全うできるよう支え続けることを意味しています。具体的には、加齢によって衰えてくる身体機能や生活機能(食事・睡眠・運動)を検査・評価して、個人に合った活動長寿の維持に役立つライフスタイルを提案するプログラムも提供しています。
多機能性とラグジュアリーを掛け合わせた、こだわりの特注家具

健診の待ち時間で使用する個室。トイレやシャワーも室内にあり、まるで五つ星ホテルのような非日常の空間が広がる
― 藤田医科大学東京 先端医療研究センターの家具や内装のコンセプトを教えてください。
日本の玄関口である立地を意識し、家具や内装のコンセプトは「上質な和モダンテイスト」としました。医療施設でありながら、高級ホテルのような佇まいに仕上げたのがポイントです。例えば、本物の木材や大理石を使用した特注の家具、さらにはほのかな甘みを帯びた新茶をイメージした香りを採用するなど、細部にまでこだわりました。すぐ隣は羽田空港であり、飛行機の離着陸をご覧いただける個室もあります。また、高機能な防音窓により騒音は遮断しています。これらのこだわりにより、患者さまに安心と快適さをご提供することを追求しています。
― 患者さまが使用する家具には、どのような工夫が施されているのでしょうか。
オリバーさんにリクエストした点は、医療施設としての「安全性」「メンテナンス性」「多機能性」、上質な空間に適した「サイズ感」「デザイン性」です。例えば、チェアやソファは座面の高さを微調整して、高齢者や体の不自由な方でも立ち上がりやすい仕様です。チェアは、杖をつく方の転倒リスクも考慮し、後脚が輪郭からはみ出さないデザインを採用しました。

転倒リスクに配慮したチェアの後脚は、医療機関ならではのホスピタリティ
一方、ソファはかかとを手前に引いて立ち上がりやすい設計にあり、床と接する部分は木材を使用しています。そうすることで靴が当たる部分の汚れは目立ちにくく、すぐに清掃できる仕様です。

安全性も考慮しつつ、木材を使用するディティールにも上質な空間へのこだわりが見える
また、医療施設であることを考慮し、チェアやソファのファブリックにも工夫をしています。高級感のあるファブリック素材に見えますが、汚れに対しても簡単に水拭きでき、消毒可能な衛生面にも配慮された素材です。さらに、海外からの患者さまにも配慮して、家具はゆとりのあるサイズ設定にしました。どの家具もすべて丸みを帯びた形状に仕上げ、安全かつ上質感とリラックスできる雰囲気を演出しています。
― 「多機能性」とはどういったことなのでしょうか。
例えば、緊急時に対応できるよう、テーブルには上質な素材を使用しながらも、スタッフが手軽に運べるものを採用しました。また、ソファは通常の使用時の快適さと、万が一の際は、すぐに患者さまが横になれる十分なサイズを確保しています。個室のレイアウトにおいても、医療と快適さの両立を図っています。医療用ストレッチャーが余裕を持って出入りできるスペースを確保しつつ、平常時は高級感のある落ち着いた雰囲気を醸し出せるように工夫しています。
― 当社の家具は、患者さまにどのような影響をもたらしていますか。
健診クラブを訪れた方は、「まるで高級ホテルのよう」「プライベート感があり、リラックスして検査や治療を受けられる」といった声をいただいております。単に患者さまの満足度を高めるだけでなく、ストレスや不安を軽減する効果もあると感じています。リラックスした状態で治療・健診を受けていただけることは、検査結果の精度や治療効果の一助を担ってくれているのではないでしょうか。というのも、私たちの使命は、患者さまに最先端の医療サービスを提供することです。そのためには、患者さまが心身ともにリラックスできる環境づくりが不可欠でした。デザイン性は良くても、医療者の声を反映させた機能的な家具は既製品では叶えられない場合もあります。オリバーさんに依頼した家具は患者さまの安全性と快適さを最優先に考えながら、高級感も損なわないようなものであり、私たちが目指した誂えを叶えてくれていると思います。
国内外の方へ、先端医療・予防医療の選択肢として知っていただきたい
― 最後に、今後の展望について聞かせてください。
これからは、羽田クリニックで提供できる先端医療・予防医療の認知度をさらに多くの方々に知っていただきたいと考えています。この課題を果たすために、今後は企業や自治体と連携したセミナーや、相談会などを積極的に展開していく予定です。羽田空港と隣接する立地もあり、地方の方々であっても私たちの医療サービスはご利用いただけると考えています。ご興味のある方は、ぜひ羽田クリニックのホームページもご覧いただけるとありがたいです。

藤田医科大学 羽田クリニック エグゼクティブメディカルサポート担当部長 苅谷 拓郎様
※2025年1月時点の内容です。