天空のラグジュアリー空間で実現する、新時代の予防医療体験

― IMS Me-Life クリニック 千葉様
2025.07.15
IMS Me-Life クリニック 千葉
浮遊感のあるデザインに、23階からの眺望が融合した空間。予防医療施設であるIMS Me-Life クリニック 千葉の女性専用フロアは、2024年12月のリニューアルで新たな姿に生まれ変わりました。
「受診者の緊張感をどう和らげるか」「どうすれば健診をポジティブな体験にできるか」。当院が挑んだのは、“天空感”をコンセプトにした、健診体験を居心地のよさに変える空間づくりです。医療グループの入口として、健診からその後のケアまで一貫したサポートを提供する強みとともに、これからの予防医療の在り方を見据えた新たな挑戦とは—。空間が医療体験を変える可能性について、IMS Me-Life クリニックの金林さんと勝山さんに伺いました。

IMSグループの「入口」として担う、予防医療の最前線

― イムスグループ全体の中で、Me-Life クリニックはどのような役割を担っているかお聞かせください。

金林さん:イムスグループは、約140施設の病院や関連施設を持つ医療グループです。その中でIMS Me-Life クリニックは健康診断をメインに行い、イムスグループの「入口」を担う役割を担っています。予防医療を担当する位置づけとして「より早く、より安全に、断らない」という理念のもと、疾病の早期発見・予防・健康増進に取り組んでいます。

― 近年、予防医療施設が増える中、Me-Life クリニックの強みは何でしょうか。

金林さん:最大の強みは、「一貫したサポート体制」と「院内ラボ」です。健診後に再検査や精密検査が必要な場合、IMS Me-Lifeフォローアップセンターを窓口として、グループ内を含めた適切な医療機関へ迅速にご案内できます。受診者の健診データを確認しながら対応できるため、受診者は検査結果を改めて説明する手間なく次のステップに進めます。

院内検査ラボでは検体を院内で検査するため、最短30〜40分程度で結果が出ます。検査後は結果を基に医師と面談が可能なので、当日中に健康状態を把握できるのが特長です。

イムスグループの強みを語る、金林さん

イムスグループの強みを語る、金林さん

― 医療グループならではの仕組みですね。

金林さん:一般的な健診施設では検査を外部機関に委託するため、結果まで数時間かかるか、後日連絡になるケースもあります。また、再検査の際に、どこを受診すべきか分からず迷う方も少なくありません。

当院では、疾患ごとの専門性をふまえて適した病院をその場で紹介できるため、健診当日でも次の受診先を決められる。IMS Me-Life クリニック7施設のうち、院内検査ラボを持つのは当院を含む3施設(千葉・仙台・池袋)です。受診者にとってこの体制は、予防医療の継続においてメリットと考えます。

― IMS Me-Life クリニックの中で、千葉クリニックはどのような位置づけでしょうか。

勝山さん:千葉市は政令指定都市かつビジネス街の中心部であり、千葉唯一のイムスグループ健診施設として、地域の健康を守りながら医療機関へつなぐ窓口の役割を担っています。駅近の立地を活かし、より多くの方に受診していただける環境づくりを使命としています。

― 利用される方の特徴はありますか?

勝山さん:男女比は5.5対4.5と、女性の利用がやや多めです。一般的な健診施設は男性比率が高い傾向ですが、立地のよさと2020年には男女別フロアへ拡張して女性専用空間をご用意し、女性向けの検査などを充実させたことで、女性利用者様がさらに増えました。

また、最も多くご利用いただいているのは日帰りの人間ドックです。特に胃カメラなどのオプション検査も含めた総合的な健康チェックに対するニーズが高く、毎年多くの方に選ばれています。予防医療は「受けたら終わり」ではなく、フォローを含めて意味があるもの。当院の健診を入り口に、所見があった場合も安心して次のステップへ進める環境を整えることが、私たちの役割です。

IMS Me-Life クリニック 千葉の特色を語る、勝山さん

IMS Me-Life クリニック 千葉の特色を語る、勝山さん

雲の上のような心地よさで緊張を解く、「天空感」のあるデザイン

― 2024年12月に23階フロアを女性専用フロアとして改修・リニューアルされた理由を教えてください。

勝山さん:最大の理由は、需要増加への対応です。2020年に男女別フロアに分けたことでリピート率が上がり、新規の方も増え続けました。予約が3〜4ヶ月先になってしまうこともあり、キャパシティも限界に達して。近くても受けられないという方が多数いらっしゃったんです。

またコロナ禍以降、「病院併設の健診センターよりも健診専門施設の方が安全」という意識の変化も追い風となり、当院を選んでくださる方が増えたことも大きな後押しとなりました。

― 当社に空間デザインをご依頼いただいた理由をお聞かせください。

金林さん:オリバーさんとのご縁は、2020年に男女別フロアに分けた際、家具を導入したことが始まりです。その後、2022年の渋谷クリニックのリニューアル案が印象に残り、2023年には新宿クリニックのインテリアの提案で、空間の特性を捉えた分かりやすく質の高いご提案をいただきました。そうした実績や期待感、信頼が積み重なり今回は空間デザインも含めた全面的なご依頼に至りました。

― 新たな空間づくりのコンセプトを教えてください。

金林さん:千葉の海から心地よく吹く風と、女性を象徴するような花をモチーフに、コンセプトは「天空感」「花・海・風」としました。加えて、「ホテルの受付のようなクリニック」「他院の2号店・3号店にはしない」といった要素も外せないポイントでしたね。

初めてオリバーさんのデザイン案を見た時は、本当に衝撃でした。派手さはないけれど、じっと見ていると余韻が残るような、上質さがあったんです。他社の案は印象的でも「既視感がある」と感じたのに対し、オリバーさんの案は何度も見返したくなる奥行きと深みがある。不思議で魅力的なデザインだと感じました。

個々の時間の使い方も尊重した待合空間。まるで、雲の上にいるかのような感覚に

個々の時間の使い方も尊重した待合空間。まるで、雲の上にいるかのような感覚に

― 23階の眺望を活かした「天空感」は、空間デザインにどのように反映されていますか?

金林さん:空間の随所に、浮遊感を取り入れています。例えば、ソファは台座から浮いたように見える工夫がされ、雲や花が舞っている特注デザインの照明も特徴的です。

また、この階は商業テナント仕様なので天井が高く、その特徴を活かして有機的な装飾が施されています。例えば、待合スペースでは受付に近づくほど天井の段差が増し、雲の流れを感じさせます。床もカーペットとウッドを張り分けて天井デザインとリンクさせ、空間全体で一体感を演出しています。

― ラグジュアリーな空間が予防医療にどのような影響を与えると思われますか。

勝山さん:多くの方にとって、健診は「緊張」や「不安」を伴うものです。そんなとき、この上質で落ち着いた空間に身を置くことで、気持ちがほっと緩み、安心して受診いただける。“検査を受ける場所”という固定概念を超えた居心地のよさを提供することで、翌年も受診したいと思っていただける空間づくりにつながると感じます。

金林さん:健康診断は年に1度の非日常のような時間です。このラグジュアリーな空間により、スタッフの接遇や検査精度なども自然と高まりました。検査項目自体はどこで受けても同じですが、空間デザインがハード面とソフト面の相乗効果を生み出し、他施設とは違う“特別な場所”としての存在感が生まれていると思います。

― 実際に受診者の方々の反応はいかがでしょう?

勝山さん:現場スタッフや医師からも「受診者の方の表情が明るくなった」という声をよく聞きます。また、晴れの日は東京タワーやスカイツリー、富士山まで見えることもあり、写真を撮られる方も多いです。私が思うに、23階からの眺望と空間の美しさに身を置くことで緊張がほぐれ、リラックスした表情が生まれているのではないでしょうか。空間の力は、医療体験そのものを変えていると実感しています。

女性から喜ばれるデザインを意識した受付前の空間

女性から喜ばれるデザインを意識した受付前の空間

ただ美しいだけではない。医療の機能まで見据えた空間設計

― 改修・リニューアルにあたり、機能面で重視されたポイントはありますか。

金林さん:必要な検査室をしっかり確保しつつ、待合スペースにはゆとりを持たせたい思いがありました。23階フロアは約370坪の恵まれた広さがありますが、それでもすべての機能を盛り込むと、決して「贅沢に使っている」とは言えない状況です。検査前にワンクッション置けるよう医療面談室を新設したほか、受診者が迷わないようコンシェルジュカウンターも設けました。限られたスペースの中で機能性と快適性を両立させるために、オリバーさんに何度も相談に乗っていただきながら最適な配置を実現しています。

検査室前の待合スペースにも、天井とインテリアの一体感がある

検査室前の待合スペースにも、天井とインテリアの一体感がある

時間が必要な大型機器の検査待合は、パーソナルチェアを配置している

時間が必要な大型機器の検査待合は、パーソナルチェアを配置している

― 新フロアでは運用面でも新しい取り組みをされているそうですね。

勝山さん:今回の23階フロアオープンを機に、さらに受診者様の利便性を向上すべくペーパーレス運用を導入しています。従来のように受診者様が検査ファイルを持ち歩くのではなく、Web問診から始まり、検査時にはQRコード付きのリストバンドを活用してご案内しています。

これにより、受診者様のよりスムーズなご案内が可能になり、バインダー置き場が不要となって空間がすっきりしました。また、情報管理のリスクも減ってスタッフの安心感にもつながっていますね。運用方法と空間デザインが一体となることで単なる美しさだけでなく、機能的にも優れた施設になりました。

― 空間の印象に大きな影響を与える照明の工夫についてもお聞かせください。

金林さん:照明計画はオリバーさんからの提案を取り入れ、空間の用途に応じて使い分けています。待合エリアには暖色系のやわらかい照明を採用してリラックス効果を高め、検査室では精密検査に適した昼白色の照明を使用しています。

また、天井の装飾照明も単なるデザイン要素だけではありません。医療施設特有の緊張感を和らげる役割を果たしていると感じますね。

待合エリアはリラックスできる照明演出 / 検査室は視認性の高い照度に

待合エリアはリラックスできる照明演出 / 検査室は視認性の高い照度に

― 空間が完成し、どのような印象を持たれましたか?

金林さん:今までの施設とはまったく違う、パースを凌駕する完成度に驚きました。というのも、過去にリニューアルした施設の責任者が内覧に来た際、「最強の施設ができましたね」と言ってくれたほどです。見た目の美しさだけでなく、広さを活かした機能的な配置や胃カメラブースの増設など、施設としてのスペックも大きく向上しました。機能美と居心地のよさが両立した施設にリニューアルしたと自負しています。

心安らぐ爽やかな香りと雅やかな空間に包まれ、自然と背筋が伸びる受診者が多い

心安らぐ爽やかな香りと雅やかな空間に包まれ、自然と背筋が伸びる受診者が多い

空間からはじまる、健診の先にある可能性

― 実際の運用を通しての気づきはありますか?

勝山さん:デザイン性と機能性のバランスの重要さを実感しています。特に視認性の面では、美しさを維持しながらも情報が的確に伝わるよう、サイン(案内表示)の見やすさなどを微調整しました。こうした気づきは、現在リニューアル中の8階男性フロアに全て反映させています。1つの施設で得た経験が次の改善につながる好循環が生まれていますね。

― 改装・リニューアルして約4ヵ月。今後はどのような取り組みで予防医療の価値を高めていく予定ですか?

勝山さん:予防医療をより身近に感じていただきながら、年に1度の特別な体験として価値を感じていただきたいと考えています。特に、今回新設した「パーソナルルーム」を活用して、健診だけでなく付加価値のあるサービスを提供していく予定です。

例えば、イムスグループの理学療法士による「コンディショニング」サービスと健診のパッケージ化を検討しています。これは、日常の歩き方や姿勢などにアプローチして疲れをケアする取り組みを、健診と同日に行うサービスです。また、ビル内の美容クリニックとのコラボレーションで「健診×美容」といった新しい提案も模索中です。

パーソナルルームは、3名ほどがゆったり過ごせるプライベート感ある空間

パーソナルルームは、3名ほどがゆったり過ごせるプライベート感ある空間

― 最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

金林さん:予防医療は健診を受けるだけでは完結しません。むしろ、その後のフォローアップこそが本質だと考えています。当院の強みは、健診から精密検査までトータルサポートができること。イムスグループの医療ネットワークと連携し、これからも受診者の健康を継続的にサポートしていきます。

勝山さん:私たちの願いは、予防医療を多くの方に身近に感じていただくことです。千葉エリアにおけるイムスグループ唯一の健診施設として、地域の健康を守る「入口」としての役割をさらに強化していきたいと考えています。今回のリニューアルで実現した上質な空間と医療グループならではの強みを活かしながら、今後も多くの方にとって居心地よく健康診断を受けていただける健診の場を提供します。

(左から)施設管理部マネージャー 勝山 秀則様、施設管理部 事務長 金林 紀元様

(左から)施設管理部マネージャー 勝山 秀則様、施設管理部 事務長 金林 紀元様

※2025年7月時点の内容です。

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